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お弁当と和食器などのお話し
お花のシーズンを迎え、近年は人ごみを避けてご家庭の食卓でお花見という方も増えているようです。 そこで「お弁当って、ナニ?」と 【おとなの和食器屋】として考えてみました。
お弁当について
お弁当の「弁」
弁・・旧漢字で「辨」らしいのですが、これはわけるとか区別するなどの意味があるそうで、心臓の弁は流れを調整して区別しているので弁となるのでしょう。
「花弁」「安全弁」など、つまり分けるや処理するという事から、「本来の食事を分けて当てる」という事
から弁当となったのでしょうか。
もともと弁当とは「都合の良い」や「便利」という意味合いがあったようで、携帯できる便利な都合の良い食事を弁当と呼ぶようになったとう説が有力なようです。
ところで弁(辨)は、話し語り述べ説きあかすという意味もあるようで、弁論 雄弁に詭弁・答弁・熱弁・弁舌・弁解・弁明などまぁ多彩です(^^;
朝帰りした翌日の朝食どきに、「耐熱食器は粒子に遊びがあるから割れない、だから人生にも遊びがない
と」と雄弁に弁解をする店主を女将は
「それは詭弁です」
と一蹴するといった感じ。
そういえば以前、緊急事態のさ中に銀座に繰り出した先生方も弁明に追われていましたね。
ちょっと脱線しましたが、諸説あるような弁当の語源。思いを巡らすのも楽しいものです。
幕ノ内弁同
さて、お弁当というと、一番に思い出すのは「幕の内弁当」ですね。
その名前の起源は皆様ご存じの通り、幕の内。
お芝居の幕間(まくあい:途中休憩みたいなものでしょうか)に食された食事で、狭い中で効率よく食べらるようにご飯やおかずを一口サイズの俵型や切り身にして汁気の少ないものにするなど、手早くいただける工夫がされています。
観客にとっても役者さんにとっても見た目も綺麗で便利なお弁当(コンビ~ニエンスなお弁当)略してコンビニ弁当ぉ~(←違います(n_n;女将)
松花堂弁当
ところで、よくお料理店でいただくものには松花堂弁当というのがあります。 これもご存じの方が多いとは思いますが、松花堂というお料理店があって・・・というのは真っ赤なウソで(^^;これ当時のひとつの茶室の名前です。
江戸時代、画家・書道家の僧侶であった松花堂昭乗さんが農家が種入れなどに使っていた仕切りのある箱を手に入れて、薬や絵具入れに使っていました。
時が流れて昭和のはじめ。
有名なお料理店大阪で始まった「吉兆」さんの創始者である湯木 貞一(ゆき ていいち)さんが、「松花堂」と名付けられた茶室の茶懐石料理で使ったら世間で話題となり「松花堂弁当」と名付けられ後の世に広まっていったと聞き及んでいます。
お弁当とは名付けられていますが、「松花堂弁当」は幕の内のような機能性を持つわけではなく、れっきとした「お料理」ではないかと考えています。
松花堂昭乗さんが農具を物入れに、それを湯木さんが食器に・・・。 井戸茶碗を茶器とした千利休の心にどこかしら通じるものがありますね。 無心で作られた物にこそ用の美が宿るとの民藝の心にも通じるような気がするのは私だけでしょうか。
食卓で「お弁当」のようなお料理をお作りなる際は、幕の内より松花堂弁当をお手本にするといいのかもしれません。
お弁当と和食器
大人の和食器屋の弁当
では【大人の和食器屋 さんすい】でのお弁当のような器・・・というとやはりお重箱のような側面が切れ上がった品が中心となりますね。
お弁当というと和食のイメージですが、いえいえ決してそんな事はありません。 朝食だって松花堂感覚で。
ティータイムはこんな使い方も、桜餅の絵をご覧ください
ご自宅でお弁当気分で
蓋を開けるというエンターテインメント性が大きな魅力ですし、どこかしらピクニック感覚もチラとするのです。
これが食卓のお弁当の魅力なのかもしれません。
和食器たちが持ってくるお弁当
その他、器屋というか私共さんすいでは「器がお弁当を持ってる」などという隠語があります。
黒荒目シリーズなどは、意図的にごく小さな小石(砂)を入れてあの素敵な素材感というか立体感を醸しだしています。灼熱の窯の中で小さな石君たちが軽く顔を出して表情を作るのですが、時々顔を出しすぎてぷっくり小さな突起担っている時があります。
そんな時、店主は「アラアラお弁当♪お弁と嬉しいなっ」などと唄いながらローターで削ったり、緩やかになるようサンドペーパーで磨いたりします。 あの独特の素敵な表情が魅力なのですが、そんな苦労もあります。
器たちのお弁当で、一番驚くのは糸底にくっついてくるこんな塊です。
これをくっつけたままですともちろん揺りかごのようにユラユラ。 テーブルに置こうもんなら見事な傷を入れてしまいます。
これも唄いながら(いつも唄ってるわけではありません)ローターで綺麗に削って、ガラス板の上でガタツキ調整をします。
で
これくらいサラサラの状態にして洗浄乾燥してお包みしてお届けするわけです。
器にくっついくるお弁当は時々で結構というお話しですね。
和食器とお弁当まとめ
いかがでしたか?
お弁当は諸説ありますが、いつもの食事と分けて便利にどこでも食べられるお食事。幕ノ内幕ノ内や松花堂弁当などそれぞれ歴史があり趣も目的も違う事や 【大人の和食器屋】さんすいでのお弁当模様や、工房から送られる和食器にひっついてくるちょっとお弁当があるというお話しでした。
つれづれなるままにお話しをしてしまいました、それでは。