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光の色と青い和食器
ようやく暖かくなった昼下がり・・・
ピンポ~ン!宅急便で~す。
ハイハイっと店主すぐ受け取りに。
女将:なんやったの?
店主:いや・・ちょっと荷物
(↑答えになっていない。)
女将:ギターのなんか高~い本?(n_n)v
店主:(ひぇ~~~!なんでわかる)黙秘。
結婚して何十年もたちますと、だいたいミンナお見通し。
とまぁこんな調子で、おとなの和食器屋夫婦はキツネとタヌキの化かし合いのような毎日です。
光は電磁波
映画のセリフのように「丸ッとお見通しだ~」と言っても、実は女将(人間)の目で見えてるのは実は、ほんの一部の電磁波だけで、その目で見えてるのを私たちは「光」などと呼んでいます。 そうなんです。 「光」は電磁波のひとつなんだそうで・・・。
それ以外をもお見通すのでやっぱり女将はやっかいなのです。(ため息)
ちょっとだけ面倒くさいお話しですが
ナノメートル(nm)という単位があります。1nmは1/1000万ミリ)で超ミクロの世界です。
ちなみにあの憎きコロナウィルスは直径80~220nmくらいだそうで、今回のお話しはウィルス並みの大きさの波長の電磁波について。
実は見えていない目
電磁波はその波長によって色々呼び名があるそうで、ちょっとこの図をご覧ください。
女将が見えているのはこの「可視光線」と書かれているおよその範囲だけ。
その可視光線の中のそれぞれの色の波長はこんな感じで、波長の長さで見える色が違います。
【可視光線の中の色】
●紫(380-430 nm)
●青(430-490 nm)
●緑(490-550 nm)
●黄(550-590 nm)
●橙(590-640 nm)
●赤(640-770 nm)
つまり女将(人間)が見えているのは電磁波のホンのホンのホンの一部の電磁波だけという事なんですね。
図を見てもすごく狭い範囲なのがおわかりいただけるかと思います。 目にみえていない電磁波の方が断然多いという面白い事がわかります。
で
波長が短いなかで最初に見えてないのが紫外線、もっと短いとX線などの放射線。
「紫外線」というくらいで紫よりもっと波長が短い電磁波で、短いゆえに私たちの身体(細胞)に入って悪さをしたり、逆に身体を突き抜けて写真を撮ってくれたりするわけです。
殺菌やX線写真など有益な使い方もできるけれど、皮膚の中のたんぱく質を変性させてシワを作ったり細胞のDNAを壊して癌などの原因にもなりかねない代物という事でしょうか。
逆に波長の長い「赤」よりさらに波長が長いと赤外線~マイクロ波~電波 となります。
つまりこの「電磁波」のなかでかろうじて見えてる範囲だけで女将は
キャ~~~この器の色かっわいい~~だの
ン~、この色だーい好き~だの
織部のこの複雑な色合いがまた良いのよね~
などと無邪気に言ったり。
目には見えない赤外線と紫外線受けて
あっつぅ~~~今年の夏はたまらんわ・・・
やっだぁ日焼け止め日焼け止め・・・
なんて言っているわけです。
人間、全部見えてるようで実はとても狭い範囲しか見えてないのですね。
これ、私共が和食器の釉薬部分などのコンマ数ミリの表面の色合いでああでもないこうでもないと毎日のように言っているのとなんだか似ていて、ちょっと考えさせられます。
青という色
ところで最近は「青い和食器」も流行りなのでしょうか、よく見るようになりました。 春夏には涼しげで素敵ですよね。
和食器で涼やかといえばガラス食器が代表的ですが、他には磁器などの白で光沢のある器があります。
白いキャンパスに青で描かれた有田焼に代表される磁器系の和食器もとても涼やかに見えます。この青い釉薬(青絵具)は染付(そめつけ)とよばれる酸化コバルトを主成分とした顔料です。例えばこんな感じ。
この青色の顔料は、呉須(ごす)と呼ばれる事がありますが、これはもともと中国の天然鉱物から作られた顔料の名前です。同じく酸化コバルトを中心とした成分ですね。「呉須」は、今ではこのコバルトの青を使った器の総称にもなっています。
近代、この天然の呉須の中の主発色成分の酸化コバルトが工業的に作られるようになり明治期になって日本にも伝わって鮮やかな青色の絵の器がたくさん作られるようになりました。
実はこれ、古くからの「藍染め木綿などの着物」と「ジーパン」に似ているんです。
皆様ご承知の「藍染め」の藍は、もともとタデ科の植物ですが、この草に含まれるインディゴという成分を使って染める方法なのです。
近代になってこのインディゴを化学的に作り出して大量に藍染めを作る事ができるようになりました。 その代表格が現代のジーンズですね。
大昔の有田焼の染付などを拝見しますと、青もくすんだ青で磁器も白のなかに少し色が混じっていたりとシックな趣があります。
「430から490 ナノメートルの電磁波(青)だけを跳ね返す特徴を持つ顔料」を呉須と呼んでいる・・・などという野暮な説明は抜きにして、長い伝統を持つ有田焼などの器の美しさは時代を超えて私共の心にしみます。
【おとなの和食器屋 さんすい】の青い和食器たちもぜひご覧ください