大人の和食器屋さんすい
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和食器のアク抜き

昼っからウツラウツラしていると

なんだかイイ香り( ̄。。 ̄)が・・・

思わずヨタヨタとキッチンへ

な~♪に作ってんの~

お鍋の前に立つ女将に近づきますと

あ”~~近寄らない触らない!
あっ~ついんやからっ!あ~~~もぅ!

えらくご機嫌ナナメ

カレーの下ごしらえで炒めたお肉を煮てアクを丁寧に取っているところでした。

季節によっては、グツグツの鍋と向き合うこのアク抜きの作業が一番シンドイ んだそうで

お料理には欠かせない作業とはいえ大変。

ところでこのアクってナニ?

また、NHKさんのチコちゃん風ですが。

女将によると食材で違うんじゃないかとの事

調べてみると・・・

アクとは

少しカタイお話しで恐縮です。 アクは漢字で「灰汁」と書くのですが、この灰汁を使って食材のエグ味などを処理したところから、そのエグ味などの原因をアクと呼ぶようになったそうです。

和食器の釉薬も基本は灰ですから、その中に含まれる不純物をアクと呼ぶようになったのでしょうか。 漢字で表記してしまうと、意味がわからなくなり混乱するのでカタカタで「アク」と表記される事が多いようです。

ちなみに一般的に灰汁は藁(わら)灰や木灰などを水に溶かしてしばらく放置しておくと浮いてくる液で、主成分は強いアルカリ性の炭酸カリウム(K2CO3)です。

食べ物のアク

お肉のアクは溶けだした余分な脂肪・たんぱく質や血液などで、私の経験だとなんだか生臭いような脂身の風味がします。

お野菜などはシュウ酸やタンニン類だそうでこれは皆様ご存じの通り苦味やえぐ味・渋味などどちらかというと敬遠したくなる味。

皆様ご存じの渋柿の渋みはこのタンニン。最近は渋柿をうっかり食べてなんて経験のある方も少なくなったとは思いますが、あの強烈な違和感は唾液の中のタンパク質がタンニンと結合したり、唾液のムチンというぬめりを一瞬にして取り除いてしまうからですね。

赤ワインなどでは、ブドウの皮や種に多く含まれるタンニンですが、色の安定や長い熟成には欠かせない成分でもあるそうです。 決して悪者とはいえないのですね。

お話しを戻しましょう。山菜類は重曹でタケノコは米ぬかやとぎ汁、畑で採れるゴボウ・ウドやジャガイモ・里芋などは普通にお水を使ってグツグツとアクを抜くのが一般的ですが、ゴボウやレンコンなどは酢水に少し漬けて白くしたりします。

いずれにしてもアクはせっかくのお料理の味についてはちょっと困った子ちゃんなので、丁寧に対処して女将は不機嫌になるのです。

和食器のアク

実は「和食器作りでもアクは大敵」なんです。

釉薬

実は和食器づくりでのアク抜きは「釉薬」(ゆうやく)。 普通は乾燥・素焼きをした器の表面にかける液体で、施釉した後にそれから本焼きする事で美しい色になったり、なめらかになったり、水が染み込みにくくなったりします。

釉薬を作る

い薬は、木や藁(わら)などの灰を濾して作られるのが一番基本的で、灰を細かく細かく砕いて水と合わせてさらに細かく細かくしてお水と一緒にします。

これは織部の釉薬です

釉薬のアク取り

すると灰が沈殿して水に溶けた炭酸カリウムなどの不純物が上澄み液に残ります。これを作り手はアクと呼んでいるんです。
これを捨てて、もう一度お水と合わせて不純物を取り除いて・・・

この超地味~な作業を何度も何度も繰り返してようやくアクの少ない釉薬となるのですが、もしこの作業をサボったりアクを取るが不十分だったりすると、焼成した時に小さな泡状のものが残ったり斑点が現れたいと様々な事が窯の中で起きてしまい、時すでに遅しとなるわけです。
作り手はこれを「釉が荒れる」などと申します。

だからといって、泡や斑紋など予期しない期待しない反応があったとしても、それが全てアクのせいだとも限らないのが作陶の難しさ。 また、その様々な反応が悪いとも言えないのが和食器の奥深さだと私たちは思っています。

和食器のアク抜きまとめ

お料理のアクは味の大敵、和食器作りのアクは失敗を少なくする技といったところでしょうか。

いずれにしても手仕事の和食器は、単に形作りや焼成だけでなくこのような様々な地味な作業をへて完成に至っているわけですね
お手元にあるご愛用の和食器たちにさらに愛着を持っていただき大切に楽しく使い続けていただければ幸いです。

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