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和食器のツルツルとサラサラ
30℃ 待たれし夏の 暇(いとま)乞い
汗を光らせてお昼を作っている女将に近づくと
「近づかんとって、触らんとって、あっちいって、台所暑いんやからっ。」
仕方なく顔や手を洗って綺麗にして、テーブルへ。
店主:どう?このサラッとすべッとしたお肌、惚れ直したろ?
女将:ベトベトからツルっとなっただけです、サラッとはなりません。
店主:・・・・
こんにちは。いつもサラッとした肌をしている店主の 乙木(おとぎ)です。
(女将:嘘です。間違ってもサラッとはしていません↑ (n_n;)
最近はコロナも大変ですが、ここ数年の暑さは半端ではありませんね。 とうとう最高気温40度を超えてしまったところもあるようです。
今の日本の気候は6月から9月の4ヶ月の気候はほぼ「夏」で、我が家では暑いと恐くて女将に近づけません。
ツルツルとサラサラの違い
ところで、和食器でもツルツルやガサガサや稀にサラサラなどと表現する事がありますが、考えてみればどこに違いがあるのでしょう。 特に、「ツルツルとサラサラの違い」いかがお感じですか?
ザラザラは目で見てもわかるほどの、例えば備前焼などの焼き締めの土物和食器でみられる肌ざわり。
これはナチュラルな魅力いっぱいの「かけ分け楕円大皿」です。
裏側は無釉なので、実は当店に届いた時にはガサガサ・・・。 このままでは、少しでもテーブルで引きずるとアッという間に傷をつけてしまいます。 そこで私共ではサンドペーパーで徹底的に磨いてサラサラな状態にしてお届けしています。
それではツルツルは?
磁器やガラスが一般的にはツルツルですね。
ツルツルの表面は細かな平面に近い状態なので一般には光も均等に反射して光沢があって、手指との接触面が多くなる事で摩擦が多く、コレがツルツルとした感触を呼ぶのかと思います。
エ? ツルツルって滑る感じだけど?
そうなんです。 ただし、水や油などが手指と器の間に入って潤滑剤がわりになってのお話し。だから洗っている時や汚れている時はツルッといきます。
水も油もついていない乾いた状態ではむしろツルツルの磁器やガラスの方がしっかり持てたりするのはこの為でしょう。
それではサラサラはどうなんでしょう?
元々砂を混ぜたりして粗い萩焼きの糸底(畳付き:テーブルとの接地面)などは、お届け前にしっかりとサンドペーパーなどで磨くのですが、その後はまさにサラサラ~~っとした感じです。 ツルツルまでにはいきません。
ちょっとこちらの写真をご覧ください。
向かって右?側の器の糸底です。
もう分かってしまった方も多いと思いますが、サラサラはツルツルに近いザラザラなんですね。
ザラザラより極々細かな凹凸が摩擦を少なくしてサラサラと感じるというわけ。
超超細かな凹凸があるであろう器は凹面が手指に触らないので摩擦が少なくてコレがサラサラの手触りを生むのでしょう。
目では見えにくいのですが、サラサラの器は濡らしてもそれほど滑りません。 また、凹凸のせいで光る事は少ないですね。
綺麗なお肌がサラサラと感じるのは、「体毛」と「弾力性」が保たれているから。 赤ちゃんのお肌がそうですよね。
でもおとうさんのおでこのように脂が貼りつくとサラサラとはいかないわけです^_^;
サラサラとした和食器やガラス食器
和食器屋でも赤ちゃんのお肌のような弾力はありませんが数少ないサラサラの器をご用意しています。
サラサラのガラス食器
そのひとつがこのようなガラス食器のサンドブラスト仕上げ。 これは細かな砂(サンド)を吹き付けて超細かなキズを付けていく、すりガラスの手法。 この細かな傷がサラサラの気持ちよい感触を生み出すわけです。
サラサラの土物和食器物
土物和食器物の釉薬でそれを創りあげたのが「緑釉」シリーズ
まるでベーキングパウダーを振りかけたようなさわり心地。 光沢なくまるで緑の繊維と見まごうばかりの柔らかなテイストです。
ピカイチの緑のグラデーションとサラッとした美男子的テイスト・トリオをお楽しみいただければと思います。