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和食器の大きさ具合
夕食時・・・
女将はルンルンお料理
店主は食器セッティングのお手伝い
女将:まったぁ~ こんな大きなお皿だしても余っちゃうやないの~
店主:大は小を兼ねる。それに額縁効果でレストラン風。美人女将の作るTVに出てくるような欧風肉野菜炒め〜
女将:ハイハイ(^^;♪お家レストランね。ナンかトゲあるけど。
結婚して30年もたつと
女将の料理は「美味く」なり亭主の口は「上手く」なります。
毎回、食器棚からの選手選抜は楽しいのですが、お料理の機会の少ない店主にとって鬼門なのは器の大きさ。
その大きさについて少しお話しさせてください。
古今東西ならぬ「人と東西」で随分大きさや感じ方が違うようです。
料理屋さんと家庭用の器の大きさ
一般的にではありますが、家庭用は業務用の食器と比べて大きめな事が多いようです。
例えば蓋つきの「蒸し茶碗」などは私共は200cc程度を目安で企画する事が多いのですが、お料理屋さんからのご注文のほとんどはもっと小ぶりの特注が多いですね。
疫病もそろそろ終わりお出かけになる事が多くなったと思いますが、お料理屋さんで出される茶碗蒸しの器をご覧なると意外に小さい事に気づかれるかと思います。
特に宿泊施設や料亭などフルコースでいただくと、目もまばゆいばかりのお料理の数々・・・当然種類も豊富ですね。
家庭料理のような一皿の量で料亭の種類となれば、全体ではあまりに多い量になってしまいます。沢山の種類の見た目も素敵で美味しいお料理をお客様に提供されているわけですから、器は小さめで十分といったところでしょう。
東と西の器の大きさの違い1
国内の皆様のご注文をお受けして思う事は、大雑把に東西での大きさに違いがあるという事です。
蕎麦猪口は「東小西大」
初めて東京のお蕎麦屋さんから蕎麦猪口のご注文をお受けした時には「本当にその大きさですか?」と失礼にも幾度もご確認申し上げた事を鮮明に記憶しています。
聞けば関東の蕎麦つゆ「かえし」は塩分濃度が高くて、召し上がる時には少量をお箸で持ち上げた蕎麦の尻尾にチョンとつけていただくのが粋なんだそうで、実際お店にお邪魔してみて納得しました。
食文化の違い
余談ですが関東の濃味の文化は江戸城普請の時に全国から集められた労働者の塩分・ミネラル不足を補う為に広まったという説や、元々農民や下級武士が多く肉体労働者が多かった為という説など色々です。
逆に京都や大阪の関西は貴族や商人などが多く薄味の食文化が広まったという事は間違いないと思います。 九州は関東以北と同じ理由で、甘く濃い口の文化なのかもしれません。
少しだけ不思議なのが、沖縄の「ソーキそば」なんですが、どう味わってみても薄味です。 気候から言ってももっと濃くても良いと思うのですが私の中ではいまだに謎です。 もしご存じの方がいらっしゃればぜひ教えてください。
東と西の器の大きさの違い2
消費量の差は納豆鉢の差
そもそもスーパーなどで売っている納豆パックの大きさが東西で違いますよね。
消費量は断然「東多西少」で、県別でも上位15県くらいまでは青森県を筆頭にほとんど関東・東北勢が占めています。下位は北海道と北陸・関西・四国・九州・沖縄が多いですね。
1位の青森県と47位の高知県のそれはなんと3倍以上の差があるようです。
長くなりましたが、納豆鉢の大きさも当然「東大西小」となるわけです。
東京の友人宅にお世話になった朝に「へッ、納豆なんてぇものはオマエ、どんぶりでか~ッと混ぜて喰うもんだ」と手本を見せられて目を丸くした覚えがあります。
和食器の大きさ具合まとめ
多少の例外はありますが、一般的には食事の消費量によって老若男女によって和食器の大きは違ってきますが、蕎麦猪口のように量だけではなく味の濃さなど食文化の違いによっても東西で違う事があります。
いつも何気なく選びお使いになっている器たちの大きさも,別の地方を訪ねたらその大きさにビックリ! という事もあるのですね。
「大人の和食器屋さんすい」の手
ページの多くに女将の手が出演していますが、実は女将は長身で指も長く逆に器が小さく見えてしまい、お届けしたら「アラ大きいのね」とのお声をいただいております。
と言う事で、実はこれまで関係者総動員で娘の手・息子の手・息子の嫁の手などなど。 通販を始めた頃から10年来の悩みではありますが、予算の関係上なにとぞお許しくださいませ。
最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
店主:乙木