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和食器の裏事情 その1
おとなの和食器屋は、女将ばかりがお仕事を沢山しているように思っていらっしゃる方が多いようですが・・・・・
ま・・・ったく、そのとおりです。
で、和食器のガタツキは裏で治すという店主のお仕事の面白いお話しなど。
店主の裏の大切なお仕事
数少ない店主のお仕事の中で、胸を張ってご紹介できる店主のお仕事は・・・・
【おとなの和食器屋 さんすい】では主に土物(陶器)を使った食卓のご提案をしていますが、磁器ものと違って右から左へとはいきません。
俗に言う陶器市などでお品をお求めになった経験のある方はよくおわかりかと思いますが、いざ買ってみるとテーブルから茶托まで見事にキズだらけにしてしまったり、カタカタとまるでで神経質なネズミのように揺れて落ち着かなかったりする事が多くあり、経験された方はよくおわかりかと思います。
畳み付き(テーブルとの接触面)の荒い和食器は、性格の悪い恋人
好きで好きで仕方ないのに傷ついてしまう・・・切なさ
高台にガタツキのある和食器は、優柔不断で煮えきれない恋人
もうっ!・・・デザートくらい自分で決めてよ! と イラッとする
私の事ではありません、比喩です比喩。
店主もそれが嫌いで、ついつい余計にお仕事してしまうんです。
厚いガラス板の上に器を置いてよこから良~く見たり、上からよ~く押さえてみたりしてガタツキ判断。 その後砥
石で慎重に削って調整します。
次にサンドペーパーでゴシゴシと磨いて、できる限り滑らかに仕上げます。
つまり「削って」「磨いて」乾かして初めて皆様のもとにお届けできる状態になるわけです。
つまり【おとなの和食器屋 さんすい】はお客様の器の為に手を汚す和食器店、というわけです。
店主の仕事は、「金魚のお世話」や「ご飯の時間を告げる(お腹すいた~)」事などですが・・・。
大切な仕事もあるにはあるのですが、あとは、撮影とページ作りくらいです。
もしガタツキがあったなら
というわけで、もし和食器屋がお届けした器でガタツキが感じられたら、水平に少しずつ回転して(まちがっても垂直に回転してはいけません)再確認をお願いします。
もし回転してガタつかない場合は、恐れながらテーブルのわずかな凹凸を疑ってください。(^^)
などとお話ししていると、すべての器にガタガタやザラザラがあるようですが、そんな事はありません。
なかには皆様ご承知の、重くて凹凸感抜群のお品を作るある作り手の方の器の接地面は以外にも綺麗。 お品の印象とはまるで違います。
今は亡き奥様に、あなたの器の裏は粗くて指を傷める・・・とある日言われてから、とても綺麗にするようになったという泣ける逸話まであります。
逆に、いつもは、たいへん美しくにガタツキなく仕上げる工房からの品が、突然乱れてたりしますと。
ん?ナンかあったかな?と思って電話したります。 7割くらいの確率で「何か」あっている事が多いですね。
たかが裏 されど裏
なかなか深いのではないでしょうか。
和食器を浮かせたい事情
さてもうひとつ。【おとなの和食器屋】の超ロングセラーの丼です 萩焼白掛小丼
この丼の写真をご覧ください。
ア~~~ムラがあるぅ~~見っけ
はいその通りです。(^^;
茶色い円状の小さなムラが三つから4つほど。
もし、和食器がフワッ~と宙に浮いていたら・・・
作り手はその宙に浮いた器に完璧にムラなく釉薬を掛ける事ができ、それは綺麗に焼成できるのですが・・・
実際は無理です。
そこで、決して宙には浮いてくれない器を指で持って釉薬を掛けたり、釉薬の中にドボンと浸けるたりするんです。
そうなんです
このムラは、実は作り手の指の跡。つまり手作りの証ともいえるわけですね。
よろしければお手持ちの器もじっくり観察していただきますと、多くの和食器の中でこの手指の跡がわかるかもしれません。
念のために申し上げますが、これは通販でも実店舗でもお求めになッても関係ございません。(^-^)
いかがですか? 和食器の裏事情として「施釉の跡」も楽しんでいただければ幸いです。
もちろん、和食器屋で滑らかに研磨された畳付きも。