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食器を割らないコツ
毎年、花粉の時期と真夏や梅雨の時期になると、お恥ずかしいお話しなのですが店主は器の粗相をしてしまいます。
そうなんです集中力・注意力がなくなります。あなたはいかがですか?
そんな時にこそ、美味しいご飯と素敵な器で食卓を楽しくして鬱々とした気持ちなんざ吹き飛ばしてしまいたいところなんですが、粗相もおこしやすいのです。
そんな時にお役だちのお話し。
「注意一秒」
そーなんです。 1秒でいいんです。
注意すれば楽しい食卓は永遠に続きます。
正直なところ、私共はいくつものの和食器やガラス食器を破損してきました。 沢山扱うから仕方ないのかもしれませんが、そのお恥ずかしい豊富?な経験から、わかってきた事がありますのでお伝えします。
おかげ様で、現在は年間数千個の器を手に取り裏を磨いたり洗ったり包んだりします。 もちろんプライベートでも和食器・ガラス食器を使わせていただいていますが、破損する事はほとんどなくなりました。
あらかじめ申しあげますが、「器を割らない秘伝」なんてありません。
今回ご紹介するのは、私共の長年の経験から実践しているちょっとした心がけとコツです。
和食器の粗相は、ちょっとした心がけとコツで防げます。
食器を割らないコツ
色々なコツがありますが、共通している事はたったひとつ
「器から目線を外さない」事に尽きます
何度も申し上げているように、これも一瞬の出来事。 アッと思った瞬間なんです。
でもその一瞬の前の一瞬(笑)、器から目が離れていませんでしたか?
器を洗っている時、
食洗機から出し入れする時、
食器棚から出し入れる時、
テーブルから台所に持っていく最初の一瞬、ほとんどが目が離れた一瞬に起こります。
器はいつも懇願しています
「お願いだから、アタシから目を離さないで」
場面別にご紹介しますね。
食器を運ぶ
まずは「一度に沢山運ばない」事。どうしても少しでも効率よく運びたいのが人情。 という事で重ねてレストランの方のようにカッコよく重ねて運びたくなります。でも、レストランで使っているのはおよそ磁器製の洋食器がほとんど。 磁器ほどには強くない土物和食器物はもう少し大切に運ばなければいけません。
というわけで、「器とあなたの健康の為」食器は、できる限り小分けして沢山歩いてシンクまで往復しましょう。
シンクに重ねるのも最小限です。 器が着地するのはしっかり確認(どうぞ目線を外さないでください)
食器を洗う
私共は器を手洗いする時、できる限り低い位置で洗います。 これは二つのわけがあります。 一つ目は蛇口からできる限り離す為。 蛇口には何度も和食器を接触してチップさせて泣かされました。蛇口は要注意です。
洗う際の洗剤は滑りやすく、注意していても落とす事があります。 二つ目の理由は低い位置ですと破損する確率は低くなるからです。シンクの底に緩衝材を置くのも効果的ですね。 もちろんうっかり目線を外さない事が一番大切です。
食洗機に器を収める
食洗機へ納める時はお皿などは縦が多いのですが、その際不均等な形のお皿や鉢は、弱いと思われる部分を上にして必ず静
かにそっと丁寧に置いていく。 縦置きの皿のチップは一番多い事故です。
軽い豆皿なども必ず縦置きして隙間に入れてください。 水平に置くと水流で浮かされてしまいます。
食器棚に器を収める
私共が一番やる失敗は重ねすぎです。 沢山あるものだからついつい重ねて重ねてアッと思ったら崩れてたという経験が何度もあります。
もうね・・・何度もあるんです、これが。 記憶力と反省力がないといえばそれまでなのですが、そういえば
一昨年めでたく再婚した友人が自分の事を「記憶力と反省力が欠如してんだ」と自嘲気味に幸せそうに話してましたが、私の場合は結婚ではなく(^^;この食器棚の粗相を繰り返しています。
余談ですが、食器棚をこれからお求めになる際は、極力扉方式は避けて、引き出し式か引き戸式をお薦めします。 ご想像に難くなく、これは震災の経験からです。
以上、主に土物和食器物(陶器)を割らないコツや注意点などを、私共の失敗してきた経験からお話ししました。 石物和食器(磁器)は土物にくらべて比較的強いので安心ではあります。
ガラス食器を割らないコツ
意外に強いガラス
意外に知られていないのですが、同じ形状ならば一般的に土物和食器物よりガラスの方が物理的に強いと言われています。
「ガラスのハート」という言葉をよく聞きますが、ガラスというと壊れやすいという印象があります。
ステム(足)の長いワイングラスなどのイメージがあるからでしょう。 もちろんそのようなか細いパーツを持っていたり、極薄のグラスなどは十分な注意が必要です。
逆に申し上げると、ガラスが強いからあんな細い足にできるわけです。 土物和食器でスリムなワイングラスは作れません。まず形成できません。 万が一「型作り」で形成できたとしても焼成できません。窯でフニャリ(笑) 万が一焼成できても数回使うとポキリと折れる事でしょう。 磁器製ならばもうワイングラスを少したくましくした品を以前拝見した事はあります。
ガラスは温度差に弱い
ガラスは刺激を嫌います。 正確には刺激が身体に出ます。ただし「耐熱ガラス」は別格です。
手仕事のガラスのほとんどは「ソーダガラス」という種類のガラスでできています。
ガラスは分子がキ~ンと引っ張り合っている状態なんだそうで、例えば「表と裏の温度差」や「急な温度差」(これを熱衝撃と言います)に耐えません。
食洗機や乾燥機から出したアッツ熱のビールグラスにキンキンに冷えたビールを一気に入れたりするととパチンと割れます。 また、常温のガラスに熱い飲み物を入れても同じです。
誤解されているのは、熱いものに弱いのではなく温度差に弱いという事です。だから怖がる事はありません。
常温のグラスにキンキンに冷やしたビールを入れましょう。 安全で美味しいです。
それではキンキンに冷やしたグラスにキンキンに冷やしたビールを入れましょう 安全で美味しいです。
ゆっくり温めて熱くしたガラスなら実は熱湯にも耐えるのですが、それは試さないでください。
ガラス食器を割らないコツ
ガラスはギンギンな「温度差」には耐えない事を肝に銘じる
「超真面目で傷つきやすい美少年」とでも覚えておきましょう。
ガラスは傷が目立つ
特に土物和食器は、出荷時にガサガサしている所があると、私共はサンドペーパーで丁寧に磨いてお届けするのですが、これをガラスでやる事はできません。 実は土物和食器物だってサンドペーパーで磨けば細かな傷は入っているのですが目立たないだけです。 対してガラス食器は透明性が高いので見事に見えてしまいます。 ガラスの一番の魅力は透明な事が多いので、これはご法度です。
収納の際は、滑らかな磁器は別として土物和食器物とは距離を置く事が大切です。 同じフロアー(段)に置くだけでテーブルとの接触面に傷がはいる事があります。 土物和食器物の底面などからでる細かな土の粒子が散らばって、その上にガラスを置いて引きずってしまう事で付いてしまうのです。
食器を割らないコツまとめ
様々なお話しをしましたが、細かい事は抜きにして
およそ食器全般、割る時のほとんどは「目線を外した時」なんです。 それ以外ももちろんあるのですが少なくとも
運ぶ時
洗う時(手洗い)
収納する時
和食器やガラス食器からできる限り目線を切らないように心がけてみてください
どんなに愛する人から声を掛けられても、一旦食器を置いてから「なぁに」「なんだい」と素敵な笑顔で振り向きましょう。
ガラス食器は耐熱ではない限り、「常温の器に熱いモノ」 「熱い器に冷えたモノ」は厳禁です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
大切に使えば一生の伴侶ともなる和食器やガラス食器。 折角「縁」があって出会った器たちですもの、どうぞ長いお付き合いをいただき、少しでも沢山お楽しみいただいて人生の佳き伴侶としてやってくださいませ。
私共の経験が少しでもお役に立ちます事を祈っております。 店主・女将