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織部と織部好み
メルマガなどでも何度かご紹介している織部(おりべ)焼きと呼ばれている焼き物についてお話しさせてください。
世間一般?には銅を含む緑色に発色した釉薬で作られる織部釉を使った品の事を言う事が多いのですが・・・
まずは百聞は一見にという事で
織部について
織部の起源
皆様の多くはすでにご存じのように、織部焼きという言葉の起源は
戦国武将のひとりであり、同時にあの千利休(せんのりきゅう)の弟子でもあった茶人「古田織部」本名:古田重然(ふるたしげなり)が好んで、盛んに陶工に作らせたというのが通説のようです。
この古田織部という人、今から約450年くらい前でしょうか戦国時代に織田・豊臣に仕えて出世して関ケ原では東軍徳川方に付きましたが、豊臣への内通を疑われ徳川から切腹を言い渡され果てたとされています。 今でいえば世渡り上手だったんだけれどそれが仇になったといったところでしょうか。
織部好み
この古田織部という人、武将でありながら大変趣味人でもあって詫び寂び好みの利休さんに当然ながら多大な影響を受けた古田織部が好んだ器が、いわゆる「織部好み」と呼ばれるわけです。特に茶道の師でもある千利休の「人とは違うことをせよ」という言葉に生まれたのが織部ごのみと言われる器だったのかもしれません。
有名なものに東京都世田谷区の五島美術館所蔵の
「伊賀水指(みずさし) 銘 破袋」 があります。
すばらしい迫力ですよね。
ヒビが入っていたり、へたっていたり、焼いた時に飛んだ灰や土で凹凸があったりとまぁ超個性的。
古田織部さんは、これを絶賛していたのでしょう。
つまり俗にいう織部とは元々武将であり茶人でもあった古田織部が好んだ「織部好み」という意味だったのではないでしょうか。
現代の織部好み
織部釉
では現在「織部」と呼ばれている和食器たちはというと、さんすいの「緑の和食器」のラインナップのなかの多くの器のように、「銅」系の釉薬を使った緑色に発色した焼き物をさす事が多いです。 これは織部好みと言われた器に緑が多かったからではないでしょうか。
ラインナップの中で織部と名が付く和食器をよくご覧いただくと、濃淡がとても多い事に気づかれると思いますが、これは織部釉や飴釉の特徴である器の凹凸によってつくられる釉薬の濃淡がはっきり見えるからです。
この凹凸の立体感を濃淡で表現してくれる緑の織部釉が、超個性的な器を好んだ古田織部の目にとまったのは想像に難くないとおもいます。
木灰釉シリーズ
さて、
この絶賛された水指をもう一度よ~く見ていると、何だか思いだしませんか?・・・「おとなの和食器屋さんすい」の とあるシリーズに。
もし私共が皆様にご提案している器の中で、古田織部さんが最も好むとすれば、まぁ間違いなく「木灰釉シリーズ」というのは疑いようがないと思います。
実はその形を拝見した時に、とっさに私の頭に浮かんだ言葉が「へうげもの」。
「ひょうげもの」と呼ぶのですが、簡単に言えば「おどけた人」という意味でしょうか。
長~い付き合いの作者も随分と喜んでくれて、工房の屋号にさせてくれとの声もいただいたオマケ話し付きのお品です。
昨今の流麗な形の器の流行にあえて背を向けてすこし悪戯っぽくニヤリとしながら(^^)あらためて【ご提案】申し上げます。
もうこのシリーズをお求めになられた方も沢山いらっしゃるわけですが、お料理を盛り付けた時のその美しさは群を抜いています。
この機会に現代の「織部好み」を、一度体感してみてはいかがでしょう。
織部とは?まとめ
織部=織部釉 も間違いではないのですが
織部=本当は織部好み(デザイン)なんだよ という大切なお話しでした。