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花と器のブリリアントなひと時 T様との書簡より
皆様こんにちは、このコーナーでは福岡県北九州市ご在住のT様より和食器を中心とした素敵な宴のご様子をお伝えいただいた素敵な、そしてちょっと感慨深いお便りを頂戴しました。T様より快くご承諾をいただきましたので、素晴らしいテーブルのお写真も交えながらご紹介します。女将
T様からの素敵なお便り
この度の宴、北九州の銘酒を愛する会、コンセプトは『花と器のブリリアントなひと時』、大変、好評でした。
当日は生憎の雷雨、しかも雹の降る中、主役の桜は0.1部咲き。ならば、と、部屋中、花を飾り、直前で自慢のお重の蓋を開ける演出でサプライズ!メニューは呑んべい達のつまみやすさを考え、殆んどがコロコロした汁気のないスティックタイプで、ロブスターの黄金ソース、桜鯛の南蛮漬け、合間の筍ワカメ添え、秋刀魚カレー煮、海老のアーモンド揚げ、青海苔入り卵焼き、唐墨の柚子大根おろし添え、ローストビーフのホースラディシュソース、土筆の煮物、ぬか漬け、しば漬けの白菜漬巻き、かんぴょうと椎茸の細巻き、バッテラ、後半は、金柑のシロップ漬け、オーストリアとスペインのチョコ、加賀梅酒ゼリーの白桃マスカット添え、北欧紅茶セーデルブレンド、マリアージュフレールのノエルスパイスティー、珈琲はブラジル、コロンビア、エチオピア、エスプレッソ、カプチーノ、と、全力投球でした!
仕出しが殆んどで反省点は沢山ありましたが、『花と器』に助けられ、なんとか春の息吹きをお客様にお届けすることができたのではないかと思います。毎回、お願いしなくても、自然にヘルプの友達がやってきますが、サービスする側も一緒に楽しく華やぐ気分を味わうことができるからではないでしょうか。最後に今回の共演者、メインの重箱お三方、巻き寿司担当、唐墨と柚子おろし担当、ビバレッジとデザート、小鉢、漬物入れ等の陶庵や貴店の器達の写真を添付致します。この度のお心遣い、お声掛け、本当に有り難うございました。
静寂の中で幸せに包まれて・・・・
店主からのご返事
素敵なお写真の数々とお便り、誠にありがとうございます。
このような素晴らしいテーブルにご縁をいただきました事、あらためて幸せを感じております。
確かに、コーディネートのコツのひとつに縦の変化がありますが、コンポートやお花などはとても便利で貴重な存在ですね。
今回ご採用くださいました器たちの写真を拝見して二つの事を思いました。
本当の和食器好きは、さんまい「三昧」である
三昧というと「贅沢三昧」などちょっとネガティブに受け取りがちですが、三昧の本来の意味は「何事にもとらわれず自由にふるまう事」と思っております。
器が好きな方やご自身にセンスのある方は、作り手に囚われる事なく、今回のT様のように自由にご自身の感覚で器を選び楽しんでいらっしゃるという事です。
もちろん経済的な事もありますが、なにより心の自由とセンスと情熱が必要な事だと思います。
器探しは時間がかかる
今回ご採用いただいた器たち、これ全部巡り合う(含企画提案)のに10年以上かかっています。
それをお持ちになるお客様・・・本来感謝すべき私が言うのも何ですが、お客様は贅沢だなぁなどと実に勝手な事を思う私なのであります。お許しください。
何よりT様に心よりお礼を申し上げたいとともに、そのセンスと情熱と三昧なお心に拍手をお送り申し上げます。
さんすいの目の前の桜はようやく七部咲き。 週末の桜吹雪を楽しみにしております。
みずあわデザートグラス(思ったより沢山盛り付けられます)
T様からの感慨深いご返事です
お花屋さんもお寿司屋さんも植木屋さんも、それこそ10年越しのお付き合いで、皆さんが私の嗜好を理解してくださっておられるからこそ、今回のような宴が可能となるのです。
しかしながら、かつて30軒以上あったこの辺りのお寿司屋さんも今では数軒となり、お花屋さんからも「華道のお弟子さんが激減してお花を楽しむ人もいなくなりつつあるので転職を考えている。」と伺っております。
思えば、私達が抵抗なく稼業を継ぐことのできる最後の世代であったのかもしれません。これからは、私達世代が、昔、取った杵柄を活かし、自ら老後を楽しみながら少しでも街の元気の足しになるように過ごしていきたいものです。
因みにうちのお願いするお酒屋さんも、先代の時代から全国行脚をして各地の酒蔵と関係を築いてきた老舗です。まさに乙木様のイメージと重なり、感慨深いものがあります。
今を当然と思わず、たまたま与えられた幸せに気づくこと、これが「感謝」なのですね。いろいろとご無理を申しましたが、お蔭様で宴が大成功となったことを心より暑く御礼申し上げます。
店主より感謝を込めて
とても店主と同世代(ごめんなさい)には見えない若々しいお姿と、何よりお心をお持ちのT様・・・。 ほんに見習いたい素敵な「大人」でいらっしゃいます。
最後に頂戴したお便りは本当に考えさせられるもので、これは日本全国の問題でもあるのではないかと思います。「近所の○○屋さん」にはそれぞれエキスパートがいたものです。いや、今でも日本全国にたくさんいます。その多くは代々受け継がれた貴重な技術や大切な思いを持ってらっしゃいますが、とにかくみな小さな所帯。広告宣伝なんてできないし皆そんなに若くもないけど笑顔で頑張ってる。 ン~~どこかの和食器屋さんすいみたい・・・(n_n)。 そんな私たちに勇気をくださるお言葉をいただき、本当にありがとうございます。
日本中の頑張ってる店主さんたちを代表して心より御礼申し上げます。