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通販でお求めいただいた和食器と心について
「和食器の新人さんが来たら、お料理が楽しくなった~ぁ!」とはよく耳にする皆様のお言葉。
ところが・・・
「好きな食器ほど割れるのよぉ~(ToT)せっかく通販で迷って迷って買ったのにぃ~~」
「そりゃそうです、どこで買っても好きなものはよく使いますから当たり前・・・」
なんて事は恐ろしくて言えません。
粗相しないためには
目線をはずさない
で・・・・毎回、意味もなく「スイマセン」とお詫びしてしまう店主。
以前にもお話ししました通り、食器で粗相をしない最大最強のコツは
☆。.:*:・’゜~目線をはずさない!!! ~☆。.:*:・’゜★゜
これにつきます。
色々なお店や本などで色々諸説あるでしょうが、和食器屋の女将と店主の結論はそれにつきます。
和食器やガラス食器のほとんどの事故は、皆様が目線を外した瞬間にその手で起きています!
和食器ファンのあなたなら
家族が泣こうがわめこうが、お気に入りの食器を扱っている時はニッコリ微笑んで目線は外さない。
食器を静かに安全に置いてのち、「なあに?」と振り返ります。
それだけで・・・アナタは達人。
ぜひよろしくお願い申し上げます。
大切な擬人化
和食器を愛してくださる方の中によく器を「この子」とか、ご購入を「連れて帰る」という、まるで器が生き物のようにおっしゃる方がいらっしゃいます。
20年以上、色々なお客様とのご縁をいただいているのですが、この「我が子」の一人として器を迎える方の和食器は寿命が長いようです。
実は私も若い頃は、このようなお客様をどこか「ラクダが遠くを見る目」–; で拝見していたのですが、今ではとても大切な事と感じ反省しています。
長く使うと、値段はたちまち安くなる(実質的なお値段=ご購買額÷使った回数や時間)事を忘れないようにしたいものですね。
それでも粗相をしてしまったら
まず心のケア
それでもやっぱりカチンと・・・やっちゃうんです。 女将も店主も。
全壊すればアキラメもつくものが、チョンと欠けてたりすると・・・
最近気付いた頬の染みや皺のように、とにかく気になるんですな、
視線がどうしてもソコに行くんです。 連れ合いの仕草が気になり始めると止まらないように・・・(^^;
一番よいのは「忘れる事」
ナニを馬鹿な事言ってんの!\(`o’”) というお声が聞こえてきそうです。
店主に騙されたと思ってこれから申し上げる事を試してみてください。
1.食器の気になるところをジッとシゲシゲと見つめます。少なくとも10秒以上、できればもっと。 そして触ってあげましょう。
2.食器に「働いてくれてありがとうネ」とソッとお礼を言ってあげてください。心のつぶやきで結構です。
頬ずりや口付けは、なおよろし。
3.「ナンだか古美術みたくなっちゃった~」とか「あと100年たったらお宝かも~」とか「これも結構ステキかも」など
とにかく何でも良いのでつぶやいてあげてください。大切なのは否定しない事です。
ここまで少し大げさに丁寧にゆっくりやると、少し気持が楽に必ずなります。
これ実は「理解→承認→肯定」という色々な事に応用できるプロセスなんですが、いかがですか?
エ・・・
結婚に似ている? そ・・・そうかも知れません。
もちろん器のケアも試みる
チップ・・・
海外のホテルやレストランに行きますと、これが結構頭が痛かったり・・・・ちゃうちゃう(^^ゞ←ひとりボケ突っ込み
食器業界で「チップ」と申しますとチョンと欠けてしまっている状態をさします。
そんな経験ありませんか?
食器棚や食洗機を使っていると、アラ・・・って事ないでしょうか。 いつの間にか欠けている・・・。
そんな時は器のケアもしてみましょう。
☆もしそれが、数ミリまでの小さなものならばサンドペーパーで周りを削って目だたなくするという手が一般的でしょう。欠けた部分を削るというより、その周りを研いて目立たなく、また触っても危なくないようにするという事です。
サンドペーパーも色々ですが、通常#200番~#400番くらいがよろしいかと思います。番手が多くなるほど決め細やかになります。 サンドペーパーはD.I.Y.のお店や通販でも簡単に手に入ります。 ちなみに爪のお手入れには800~1200くらいがよろしいかと・・・蛇足ですが(^^ゞ
☆数センチ以上の、いわゆる「割れた」という状態・・・。 (-o-;)つらいですね。 もし、再生を試みるつもりならば、探偵のように床をはいつくばってでも欠片を探しましょう。 今は、陶磁器用のボンドも販売されていますので、接着を試みます。
ただ問題はお飲み物やお料理が触れる部分です。 一般の接着剤は、飲食器用ではない事が多いので、ここは「金継ぎ」用のキットを使うと良いでしょう。
「金継ぎ」とは傷んだ食器を漆や金属などで修復して、修復跡を隠すのではなく見せてそれをむしろ「景色」として楽しむという、私の知る限り日本独特の修復方です。 ここにも私たち日本人の「自然をあるがままに受け止める」という感性が感じられると思うのです。
さて、「金継ぎ用キット」や「金継ぎ セット」でインターネットで検索をしますと、沢山出てきますのでご予算に合わせてどうぞ。
☆その器が高価なものだったり、大切な思い出の品だったり形見だったりの場合はプロにお任せしてはいかがでしょう。
お値段も含めてこの通販ページをのぞいてみてください。
漆器工房ぬしや 八木茂樹さんのページ
この場合も欠片(かけら)は多ければ多いほど○です。
「欠け」も「味」
ところで、欠けてる・・・ソレって超OK!!!なんて事もあるんです。
コレ↓実は店主の使っている使い込んだ粉引きの飯碗のひとつ。よろしければご覧ください。
左右に丸いクレーターのようなチップがありますが、これは焼成の時に表面に小さな石が出て、使い込むうちにそれがとれてしまった跡なんです。それ以外にもこの小さな石たちによる沢山の微細なひび割れ模様が見えますね。
普通は、この石が表面に出てひび割れ模様など作っている風景を「石はぜ」などと言って陶芸やお茶の世界では珍重されたりしますが、それはもっと大きな石の場合。
でもね
私はこの井戸茶碗のような侘び寂びのある雰囲気がダイスキです。
安土桃山時代から茶人(武将)たちが愛した井戸茶碗も、元はといえば高麗の井戸周りで使っていたらしい雑器だというではありませんか。
あと数百年後に、店主のこの飯碗が脚光を浴びる日がくるのかもしれません。
使い込むほどに贅沢になるわがご飯茶碗・・・といったところではないでしょうか。
欠ける事や割れる事は、和食器の元の姿からは変わるものですが、時には素晴らしい魅力を私たちに教えてくれる事があると思います。
いかがでしたか、今回のお話し。
エ?
なんだか夫婦や恋人同士に似てるって?
いずれにしても人生の「味」を加えながら歳をとりたいものですね。
大切な和食器の心
ファストファッション(私は使い捨てファッションと呼んでいます)が隆盛の昨今、私は、国内外を問わず人件費の安い生産地での環境汚染や人権問題など様々な犠牲を踏み台にした便利さや安さには疑問を持っています。
陶磁器にも全く同じ事が言えます。 陶磁器は1000度を軽く超える温度を必要とします。 その生産性も決して高くはありません。 数百円というお皿は国内海外を問わず、様々な問題を抱えている事をご理解いただきたいのです。
現在の私がとても共感できるページがありましたのでご紹介しておきます。これは決して海外だけの問題ではないのです。
http://tabi-labo.com/223953/cheap-clothes
それでは皆様、どうぞ素敵な和食器ライフをお過ごしいただきますよう。
私共【おとなの和食器屋 さんすい】も通販で、できるかぎりお手伝いをいたします。