この記事のカテゴリー
食器と「もったない」の話し
もったいない
ア~~~ッ!
結婚して30年もたつと女将のこの声には無条件にとりあえ「ゴメンナサイゴメンナサイ」と呪文を唱えときます。 もうね、防衛本能なんです。
んまたぁ~トイレのヒーターつけっぱなしの電気つけっぱなし~ッ、もったいな~ぃ。
ヒーター・エアコンの消し忘れはだいたい週2くらいのペースで注意されます。
「もったいない」「勿体ない」という日本語
どうも英語やフランス語・スペイン語にもない語句のようで不思議な日本語です。
そのもったいないのお話しなど、少しだけお付き合いください。
「もったいない」の起源
「もったいない」をPCやスマホでは「勿体無い」と漢字変換します。 勿体とは「勿体つけてさぁ」「勿体ぶらずに・・」などと、大げさな物々しさの意味で使われますが、つまりは外見の重々しさや風格で、元は物体の本来あるべき姿、物の本質というような意味だったようですね。ちょっと眠くなりそう。
その意味が転じて価値ある事や物つまり「有難みある事や物」と変化したようです。
つまり「もったいない」は、「有難みのある事や物が無くなってしまう事」だと私は理解しています。 物には魂が宿ると考える日本人らしい考えのような気がします。
若き日のトイレの衝撃
昔々、まだ青年だった店主がアメリカを旅していてトイレに入った時の衝撃。
1:便器に座るとカカトが床につかない
2:仕切り(当時は下が空いてるのが普通)が高すぎてなんだか恥ずかしい。膝下くらいまで空いてるんですもの。
3:なんと紙をタオルがわりにしてそれも2・3枚ぺっぺっとつかんで手を拭いて笑顔でポイしてる。
1と2は体格と習慣の違いですが、
3は、やはり物量が違うなぁ・・・そりゃ戦争したって勝たんわ(^^; などとわけのわからない感心をしたものです。40年くらい前のお話しです。
でもそれから四半世紀後くらいにはペーパータオルは日本でも使われるようになりました。 我が家でもコロナに備えて女将が買い置きしています。
試されるMottainai
衝撃を受けた時から40年ほどの時代は流れ流れて現代。 当時はその使いっぷりに感心していた私も、時が流れてさすがにそれはマズイと考えるようになりました。もちろんアメリカの方々をはじめとする世界の人々も同じだと思います。(コロナ禍のペーパータオルは別ですが(^^ゞ)
環境問題でのノーベル平和賞受賞者であるケニアのワンガリ・マータイ(Wangari Muta Maathai)さんが、国連本部での演説で環境問題のキーワードとして「Mottainai」という資源が乏しい日本の精神を提唱したのは有名なお話しです。
その日本で暮らす当の私たちは長らく、ファストファッションよろしく繊維に限らず「物」を気軽に捨て替えてゆく文化に染まっていたような気がします。
その安い原料などが、劣悪な作業環境問題や人権問題にまでからんでいる事は皆さまご存じの通り。
「それでもあなたは安い早い物に手をだし捨てる生活サイクルを続けますか?」という問いを私たち全員がが突きつけられていると私は思います。
もったいない食器
食器はエネルギーの塊
ご存じの通り陶磁器は焼成して作られる物でして、和食器など全般に「焼き物」などと言われるくらいです。
燃料は、ガスや灯油や電気です。電気の一部(2019年段階で18%ほど)には再生可能エネルギーが含まれているかもしれませんが、陶磁器のほとんどはガスや灯油などの化石燃料で焼成されていると申しあげても過言ではありません。
全部電気窯に替えてしまえっ!とは言っても、2割程度しか再生エネルギーを使ってないわけで残りの8割は化石燃料と原子力という事になります。 電気自動車と同じですね。
通常は最高1200℃以上の高温で普通は5時間、長いものはやや低火度で10時間以上かけて焼成します。素焼きや本焼き、絵付けをしてまた焼成など具体的な数値は色々ですが、決して少なくはない二酸化炭素排出量でしょう。
手仕事のガラスは工程の最初から常に火を入れているため、また冷却炉も含めるとこれも相当なものだと推測されます。 現に昨今の燃料費の値上げでガラス製品は最も影響を受けています。
土物(陶器)・石物(磁器)・ガラスを問わず和食器や洋食器は、かなりのエネルギーを消費して、二酸化炭素も排出していると思われます。 割れれば土に還(かえ)るから・・・などという単純な事ではないはご理解いただけるかと思います。
食器と「もったない」のお話し まとめ
食器は和食器・洋食器を問わず、人の苦労と私たちの住む地球にも少なからず負荷をかけて生み出されているわけで、少なくともこの自然に対する負荷を少しでも和らげるためには、ひとつひとつのご使用年数を少しでも長くする事がなにより大切ではないかと思います。
じっくり吟味して本当に気に入ったお品を納得して手に入れて、じっくりと長く愛おしんでお使いいただく。 そんな「スマートな生活」「丁寧な暮らし」を少しでも多くの皆様に実践していただければ、きっと明るい未来が待っていると確信しています。
じっくり吟味・しっかり納得してお求めいただけるよう、 私共も手を抜く事なくご説明を尽くしてまいります。
少々かたいお話しに最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。