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和食器の歴史(日本概要編)

現代の生活の中で、毎日私たちが使っている和食器は様々な種類がありますが、よく考えてみると器ってどうしてできたのか?

考えていると眠れなくなったので少し調べ考えてみました。

詰め込み気味な教育を受けた世代(昭和)の私は「日本史」と聞くだけでアレルギー疾患が出そうなのですが、超大雑把に

石器→縄文→弥生→古墳→飛鳥→奈良→平安→鎌倉→室町→安土桃山→江戸→明治→大正→昭和→平成→令和

といったところでしょうか。 この文字の羅列を見ただけで私は軽い眩暈をおこしそうになります。

とにかく、こような時代変遷を経てきたわけですが。

では器はいつ頃からあったのかというと、確認されているのは今のところ縄文時代という事になっているようです

時代としての器

文字としての「器」

以前メルマガでもお話ししましたが、「器」という文字からして口の形をした4つの器に神様へのお供え物を入れて並べている図なんだそうで、真ん中の大の時は元々「犬」で生贄を意味するという説もあります。私のような犬好きにはちょっとショッキングな説です。 ともかく、このような文字の歴史をみても器は食べるための物というより元々神器として作られたものなのかもしれません。

余談ですが、ワンちゃんは古代から「邪」を避けてくれる神聖な生き物だったという説もあるようで。例えば「家」いう字は「うかんむり」の下に犬が居る、もしくは亡くなった犬を家の中に埋葬して家を護るという意味との説など聞き及びます。 一説ではありますが、犬好きとしては少し安心しました。

縄文土器

教科書でもお馴染みの縄文土器は、大変装飾的であったことを皆さん覚えていると思います。燃え盛る炎を思わせるような火焔型土器は有名ですが、これらが何に使われていたのかは正確にはわかってはいないとの事ですが、やはり神器が有力でしょう。

焼成温度は600℃から800℃で、酸化焼成したものと思われ、赤褐色でとても脆(もろ)いです。 余談ですが、皆様がお使いになっている土物和食器(陶器)は通常2度窯に入るのですが、その1回目の「素焼き」と同じくらいの温度ですね。 現代はさらに施釉して1200度以上で本焼成します。

ちなみに赤絵・色絵・金彩などの上絵付をしている和食器はさらに3回目の窯に入ります。 お値段もそれなりになるはずですね。

私共の取り扱っている 約80種に及ぶ 赤い和食器 のなかにも3回の窯に入ってようやく世に出る器もたくさんあります。

弥生土器

弥生土器の陶片

弥生土器は、1884年(明治17年)現在の東京都文京区弥生町東京大学構内の遺跡名からつけられたもので、縄文時代と古墳時代の間で、ほぼ紀元前2世紀から紀元後3世紀に渡ると考えられています。

成型法はそのほとんどが輪積み法で、刷毛やヘラで丹念に仕上られているのが特徴です。装飾的な縄文土器とはその点が違います。

実は弥生時代の窯はまだ発見されていないようで、穴を掘った単純な野焼き方式で温度は700℃程度どまりで酸化焼成したものと思われています。現代の素焼きとほぼ同じ温度帯の器だといえますね。

このあたりまではまだ窯ではなく野焼き状態だったと推測されます。 オープンエアーですので酸素たっぷりの酸化焼成という事でしょう。

土師器と須恵器

土師器の陶片など

土師器(はじき)と須恵器(すえき)ともに、埴輪(はにわ)が象徴される古墳時代の焼き物で、奈良・平安時代にわたり作られました。

須恵器 黒いです

土師器は縄文式土器や弥生式土器の技術的伝統に沿って作られた土器で、古墳時代の主役でもありました。

須恵器は、5世紀に朝鮮半島から伝えられた技術をもとにロクロや窯を使って生産されるようになりました。

この時代になると窯を作って焼成温度は1100度を超え、酸素を窯内にあまり送り込まない還元焼成で黒味を帯びてかたく焼きしまっています。

人の求める器

焼成温度の移ろい

縄文土器から須恵器までの歴史からも、器(陶器)は時代を経るごとに焼成温度を上げていった事がうかがえます。
野焼きのような焼き方だったであろう縄文・弥生時代の800℃どまりに対して、土師器や須恵器になると穴窯などで焼成されて1000℃を超えています。現代では、1250~1350℃(磁器など)の高温で焼成されています。 これは当然な事ですが私たち人類が、より強い・より水漏れしにくい器を求めた為で、ごく自然な事であると私は考えています。

余談ですが、現代では磁器ではなく陶器(土物和食器)でも1400度付近という驚異的な高温で焼きあげる希少器もあります。 私の店でも年に10数個しか入荷しないシリーズです。窯の耐火レンガの寿命を短くするほどの高温です。

わら灰釉シリーズ【瀬戸口 真】

施釉

器として一番重要な事は漏れない事。 ここからは私の推測ですが、ある日たまたま木灰がかかった器ができて、これが染みにくく漏れにくい事に気づいた私たちの祖先は、それならと木灰を水に溶かして器にかけてみたところ見事に綺麗で密度が高いコーティングされてしまった。 というのが施釉(釉薬を施す)のはじまりではないかと考えています。歴史家の方にお叱りを受けそうですが。

前述の須恵器は、自然な灰釉が見られますが、平安・鎌倉時代の焼き物になると施釉されています。その平安鎌倉時代あたりからの日本の「六古陶」越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前などの古い初期の焼き物は自然釉(灰釉)が多いのもうなづけます。 その後、施釉を覚えて瀬戸などは日常食器の一大生産地に発展したのです。 今でも陶磁器一般の呼び名をして「瀬戸物」という一般名詞が存在するほど、日本全国に流通していたのでしょう。

古瀬戸大皿

最も古い釉薬には灰釉と並んで鉄釉がありますが、古い歴史を持つ瀬戸の焼き物の「古瀬戸」を現代に再現しようとしている品があります。私共が取り扱っている「古瀬戸シリーズ」がそれです。→

磁器(石物和食器)と陶器(土物和食器)

陶器はいわゆる粘土を原料として作られる器で、現代では1200℃ほどで焼成されています。通常は施釉されていますが、吸水性はあります。対して磁器はガラス質の原料である珪酸を多く含む磁石土を使い、施釉して1300℃ほどの高温で焼成してガラスに近い状態にしたものです。 したがって吸水性はほとんどありません。

この事からもわかるように、磁器は陶器に比べると実用性に優れている事がわかります。 歴史的に見ても磁器は新しい種類の器だといえます。

ちなみに磁器の生まれ故郷は中国と言われています。 そういえば、古く西洋では磁器の総称として「China」が使われていたようで、それでは「Japan」は何だと思いますか?

それは漆器なんだそうです。 漆は多湿で硬化(かわくと表現します)しますので、多湿な日本にこそむいていたのでしょう。 逆に乾燥している大陸では磁器が発展したわけでしょうか。

大河ドラマなどの時代考証をしている時代劇など拝見していると、戦国時代より前には漆器が主であった事がわかって興味深いです。

ところで日本で最初に磁器が作られたのは佐賀県有田の有田焼と言われています。 朝鮮陶工 李三平が大陸から持ち込んだ技術です。 もちろん良質な磁石土がこの地で採れた事が大きかったようです。 元をたどれば豊臣秀吉の朝鮮出兵。 茶道の千利休が現れるのもこの頃ですから、安土桃山時代は和食器にとって大きな節目の時代だったのかもしれません。

有田で採れていた良質の原料である磁石のお話しを 有田 和食器の源流探訪 という別コラムで少しご紹介しています。

精製技術が今ほど進んでいない昔の有田焼の風合いの再現をめざして作られる現代の器もあります。→

 

和食器の歴史(日本概要編)まとめ

道具から楽しみへ

野焼きの中で作られた素朴な土器は、より丈夫に、より高密度に、より漏れないように焼成温度を高くしながら釉薬を施しながら長い時をかけて現在に至っています。

様々な素材や釉薬、様々な道具が発展して至った現代では、「食べる為の道具」としてだけの器から「色や形などのデザインを楽しみながら使う」という事が加味されて作られ使われています。

付加価値の追求

「物」が市場に行き渡ると、本来の基本的機能から付加価値が追求されるようになります。 自動車にデザイン、旅客船や列車に乗る楽しみ、飛行機に快適さなど、本来の「移動する」目的から付加価値をも追及されています。 和食器も例外ではなく、物を入れる・液体が漏れないなどの本来の基本的機能から色・形・テイストなどの付加価値が追求されるようになりました。 ここには日本の「茶道」が大きな影響を与えた事は間違いないと考えています。

いつも何気なく使っている和食器。 歴史を振り返ると、今お持ちの器たちも私たちと同じくたくましく生きながらえてきた子孫のように思えて感慨深く、愛おしく感じます。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。 もしよろしければ、私共のサイトの 土味の和食器 のページの品々もご覧ください。 歴史のDNAを色濃く残した品もご覧いただくことができます。 月に1回程度の和食器についてのメルマガも配信しています。
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文責:乙木新平

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