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私が土物和食器じゃなきゃいけない「10の理由」その2
私も女将も「土物和食器」大好きなんですが、その理由を「その1」でお話ししましたので、その続きを今回はお話しさせてください。
「その1」では
●和洋中なんでもござれの自由さ
●器の変化を楽しめる。(感受性が豊か)
●表面の立体的な凹凸が釉薬の濃淡などに影響して複雑な表情を見せる。
●お料理を対照的に優しく、やわらかく魅せる事ができる。
の四つの理由についてお話しさせていただきました。
そして五つ目・・・
それは短所でもありながら土物和食器ならではの実は魅力になっているんです
脆さと大切にする心
脆(もろ)さ ゆえの愛おしさ、そして大切さ
女将はどちらかというと良妻賢母型ですが、店主に限らず世の多くの男性は若い頃、
髪は長いストレートで手指は細くて長くて低血圧で「朝は弱いのアタシ・・」みたいな
女性に憧れて「オレが守って支えるぜぃ」などと思ってしまった事があるのではないでしょうか。
↑あなただけです/女将(n_n;
(咳払い)
じょ・・・女性だって母性本能をくすぐる男性につい心が・・・な~んてご経験いかがでしょう(^^)
器も同じで、「決して強くはありません」と店主や女将から説明されると、
よけいに宝物のように思えてしまう傾向があるようです。
そしてそれが知らず知らずに・・・
次の理由に↓
物を大切にする心を育む
というわけです。
それは私たちだけでなく、周りの友人家族にも強く影響して。
「彼女がとても大切にしている器」
「お母さんはとても大切に扱っていた・・・」
特にお子様への影響は大きいと思うのです。
人間もそうなのですが、「弱い」という事は決して悪い事ばかりではない。
それによって大切な学ぶ事もとても多いと思うんです。
ではなぜ脆いのか(とは言っても金属や磁器に比べての話しなのですが(^^ゞ)
一言で申し上げると、密度が低いという事。
土物和食器(陶器)はお菓子のイメージで極端にいうとオコシの感じ。粒が大きくて隙間(空気)がたくさんある。
対して石物和食器(磁器)は乾パン(最近は非常食として缶詰でも売られてますね)のイメージ。
そう・・・
土物和食器(陶器)は、身が詰まっていないから柔らかい
だからふっくらと厚みあるのが陶器の良いところだなんて言いますが、実はそう作らないといけないわけです。薄くはできないから。
だからこそなんです。
母のような優しさと温かさ
ふっくらとした優しさ、やわらかさを持つ
やわらかいから薄作りできないのが欠点でもあるわけで、デザイン的にはシャープさに欠けるわけです。
でもそれは裏を返せば柔らかな優しいデザインであるともいえるわけです。
ちょっとお話しはかわりますが、
私を含め、幼児期までは実に自分勝手なわけで、母親はそれを基本的に受け入れてくれる存在なわけです。
土物和食器はスマートな美しさよりも、どちらかというと母の包容力と申しますか優しさを持っていると思うのです。
比較的軽いわりに保温性がある(冷たいのも温かいのも)
これには多少のご異論もあるとは思いますが、空気をふくんでいるので
お蕎麦屋さんやうどん屋さんでよく見る分厚い磁器の砥部(とべ)焼は
丈夫で、比較的保温性もある飲食店使いには大変適した素晴らしい焼き物です。 磁器であの厚さだからです。
でも、あの「重さ」は多くの皆様がご存じのとおり。
対して、土物和食器の場合は内部に空気層(すきま)があるので、同じ条件(厚みなど)ならば軽くて保温性もあるのです。
冷たいものは冷たく
温かいものは温かく
いただけるというわけですね。