飴釉豆鉢2個セット

お料理と釉薬の妙

釉薬のグラデーションと小宇宙

豆鉢を窓際などで手に取って見てみると、茶色の濃淡が見えます。　かけこぼされた釉薬が少しずつ底におりていき、豆鉢の凹凸で溜まりながら底に落ち着くわけです。　薄く流れたところは明るい茶色に、溜まったところは濃い茶色、そして最も厚い部分は透明度のない茶褐色に変化し、さらにご覧のような乳白色や茶褐色の窯変が見えます。

小さな鉢ではありますが、ごの小宇宙のような複雑で美しい表情を、半ば意図的に半ば自然任せに作っていくわけです。常日頃から私は、器はお料理の額縁などと例えていますが、実に贅沢な額縁だと思います。

お料理を邪魔しないトーン

撮影は、一般のご家庭の窓際くらいの明るさでおこないますので器の色が明るく見えますが、この豆鉢も実際はシックな印象で、写真のような緑、秋冬の白菜、白菜などのお料理に加え、フルーツやアイスクリームなどのデザートもとても綺麗に見えます。　釉薬アートな主張しながらもお料理やデザート映えは欠かさない抜かりのない和食器でもあります。

お料理主役のデザイン

この豆鉢のデザインをよく観察してみるとご覧のようにエッジから約2cmのリムともいえる直線部分から、内側にもうひとつ小さな豆鉢があるような二段構えです。　これによってこの太いリムが額縁代わりとなってお料理を取り囲み浮き立たせるという効果があります。　同時に抑え気味の釉薬のグラデーションも見る事ができるわけです。　もちろんリムをお皿本体と考えれば多めに盛り付ける事もできます。　いずれにしてもお料理を主役にする朝顔型のデザインです。

飴釉とは

実は一般的に飴釉といわれている釉薬は鉄釉の一種で、その歴史は長く平安室町時代にまでさかのぼり、一説には日本最古つまり最初に使われたと言われている釉薬でもあります。

素地を白く明るくして鉄分が比較的少な目な鉄釉を施すと明るい飴釉となります。釉薬が厚くかかれば濃い色に薄くかかれば明るい色となるわけですが、それだけに同じ和食器の中だけで、様々な土物和食器らしい美しいグラデーションの変化を楽しめる釉薬です。

また昼間の明るい光の中では、明るい茶色に。　逆にご家庭の夕食時の落ち着いた灯りの中では大人しいグラデーションに見えます。　撮影時は明るい環境の中で行いますので、お手元に届いた際は写真より落ち着いた雰囲気だとお感じになると思います。　ぜひ様々な光の中でその変化をお楽しみください。　また使いこむうちに、新しいうちは光っていた表面の艶は鈍り渋く光る魅力的な器への成長します。

飴釉豆鉢と和食器選び

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