黒飴釉小皿

土物和食器としての魅力

飴釉のグラデーション

鉄分つまり鉄釉をたっぷりと施す事で飴秞と呼ばれる透明でぽってりとした質感が生まれます。その飴釉がたっぷりと施されたお料理が盛り付けられる中央部分。素地のわずかな凹凸を色の濃淡で見事に表現しています。凹の部分は釉薬が厚くなる事で濃く、凸部分は釉薬が薄くなり明るい茶系に発色する為です。滑らかなのに立体感を感じる、織部釉などと同じく透明性のある釉薬ならではの魅力です。

素地の立体感

ただつるんとしたテイストの器ではなく、石などの表情がところどころに見える土物和食器らしいテイストは、中心部では釉薬の色のシルエットとしても現れて、器の野趣ある魅力のひとつでもあります。

お料理のわき役としての魅力

光沢ある飴釉

一般的な和食器であれば、施釉（釉薬をほどこす）は全体的に1回だけなのですが、この小皿や同じシリーズの大皿は
1.全体に薄く鉄釉を施す。
2.リム部分に撥水処理をする。
3.中心部分に今度は鉄釉を厚く施す。
という、通常の和食器より手間のかかる工程を経て創られた釉薬デザインです。　このたっぷりと施された釉薬部分は触れると指紋が見えそうなほどの光沢があります。　それは長くお使いになると鈍い落ち着いた光沢となります。
この光沢の中に浮かぶお料理の色やイメージが素晴らしいものである事はご想像に難くないと思います。

シックなリムの鉄釉

美しく浮かぶお料理を外側から取り囲むのが光沢ないリムの鉄釉。　これは飴釉とは呼べない薄い鉄釉なのですが、内側の濃い飴釉との対比が素晴らしいコントラストを生み出しています。　お料理という主役ををシックな色で取り囲む額縁のような効果です。そのその額縁の中に飴釉に浮かぶお料理が鎮座しているイメージです。

この小皿を使った和食器コーディネート

沁みる大根のあるテーブル

白菜や大根などの根物やほうれん草などの青菜などもこの小皿に盛り付けると綺麗に映えます。土物和食器は一般的に茶系が多く比較的コーディネートが簡単に決まってくれるので、出番も多くなると思います。　お出しのよく滲みた大根料理は心に沁みます。

美食と美器の調和を追求するあなたにぴったりな、飴釉の透明感と素材感が醸し出すコントラストが特徴のこの小皿、まるでお料理がお皿の中に浮かんでいるかのような幻想的な演出が、あなたの食卓を一層豊かに彩ります。

緻密なのですがナチュラルなリムが、内側の透明感と輝く黒飴釉を引き立て、そのから「潤い」さえ感じさせてくれるほどです。

お料理の色彩が最も引き立つ黒色の背景。しかし、一般的には黒色の器はテーブルコーディネートの選択肢を狭めてしまいますよね。しかし、この小皿の黒飴釉は実は「濃いこげ茶」であり、他の和食器とも自然に組み合わせることが可能です。