織部草紋小皿

釉と絵の魅力

織部秞の濃淡

織部秞のような半透明の釉薬は、厚ければ濃い緑、薄いと明るい黄緑に見えます。この小皿の織部釉薬のナチュラルな模様は素地に施された凹凸模様が緑の濃淡によって表現された結果なのです。表面は滑らかでも豊かで魅力的な表情を持っています。

軽やかな筆運びの鉄絵草紋

鉄釉で優しく流れるような筆の運びで描かれた草紋。　織部秞独特の濃淡の立体感とも相まってどこかしら懐かしく素朴な魅力があります。

足の魅力

通常、ロクロでは作らないこのようなデザインの器は高台(丸い足)がなく安定性やザラつきなど実用面で少し難がありました。そこで、この小皿にはご覧のような目立たない3本の足(脚)を手間をかけて付けています。

手間を惜しまない

小皿の裏をご覧いただくと小富士のような3本の足とその間にある小さな無釉薬の斑が見えます。これは目跡と呼ばれ、灼熱の窯の中でこの器全体を支え浮かしていた道具土の跡です。このおかげで3本の足の裏まで美しく施釉されて、大切なテーブルにとても優しい和食器となる訳です。　和食器の裏は釉がけの様子など様々な面白さがあります。　ぜひお手に取ってお楽しみください。

3本には訳がある

1200度を超える窯で焼き上げた器は多少は湾曲しますので当然足の高さに差が出ます。4本の以上の足ですとがたつき修正の為にせっかく施釉されてツルツルなテーブルとの接地面を削らなければいけません。　ところが3本ですと、削り調整された4本の足には及びませんが、無調整でもガタつきは発生しないのです。　最低限の3本足にすることでガタつきのない裏まで施釉されたテーブルに優しい和食器が出来上がるのです。

足数ミリの効用

この小皿の和食器コーディネート

しっとりといつものお料理をいただく

普段通りのお料理を優しく包み込むような器たちでいかがですか。織部秞の緑とトマトやエビの色映えにご注目ください。

季節を想う和スイーツ

土物和食器で茶系のアースカラーや赤絵の器との相性が良い印象です。緑の織部釉の部分に少し光沢があるので、ガラス食器との相性も良いでしょう。　甘い時間をどうぞ。