織部花紋楕円浅中鉢

色や表情の魅力について

織部釉の多彩な表情

この中鉢を手に取りご覧いただくと、織部釉の色が黄緑～緑～濃緑そして乳白の青緑と、釉薬が厚くなるごとに多彩な変化をしている事がわかります。土物和食器物ならではの深淵なその表情は、器好きだけではなく手仕事の上質な器を使い始めた皆様にもぜひ一度ご体験いただきたい魅力のひとつです。

また、釉薬の流れは中鉢の裏でよく見る事ができます。ぜひ裏まで鑑賞して愉しんでいただければ幸いです。

鉄絵について

花紋で優しい味付け

茶褐色の可愛らしい花紋はたおやかにひかれた格子柄に優しく描かれています。ともすれば重厚に見える織部釉の器に素朴さと優しさの味付けをしてくれています。

羽織裏の美学

テーブル上からチラリと見えるのは釉薬の流れる表情だけではありません。　表面の可愛らしい花紋鉄絵とは違うストライプ柄。普段は見えないところに手をかけ粋に着こなす「羽織裏の美学」ですね。

形や削りのデザインの魅力

曳かれたラインやエッジの表情

じっくりと鑑賞してみると、エッジには手を掛けた折り返しの模様。　そしてリムと見込み（内側）には数本の線が削られ描かれています。　この様々なラインがある事でお料理と器との結界が作られて全体に締まりある風景となっています。作り手のセンスがもの言う部分でもあります。

接地面まで滑らかに施釉

ご覧の通り、織部釉の表情ある変化や鉄絵模様はテーブル上ではチラリと見えます。
ところでこの楕円中鉢はご覧の3つの足を作る事で支えています。　その3本の足の周りに数個の釉薬のない部分がありますが窯の中でこの中鉢を支えていた道具土の跡です。この道具土で窯の中の中鉢を支える為に、テーブルとの接地面である3つの足の裏にまで施釉されて滑らかにできるのです。　灼熱の窯の様子を想い浮かながらお使いいただくのも趣あるのではないでしょうか。

この楕円中鉢の和食器コーディネート

毎日のテーブルをおとな艶やかに

以前よりお家時間が少し長くなりました。その分、いつものお家ごはんは充実したいものですね。　普段着のお料理を落ち着いた艶（あで）やかさを感じながらいかがでしょう。　この中鉢は少し光沢がありますので、ガラスとの相性も比較的良好な印象です。

海の幸を銘酒でいただく

どちらかというと深い緑の器ですので明るい色のお料理のほとんどの色映えは素晴らしく、ご覧のような刺身の色は赤も含めて綺麗に見えます。　刺身の赤がとても冴えているのと同じように、織部釉の器は赤絵との相性も良く、今回は赤絵の酒器を揃えてみました。織部の中の赤絵がワンポイントのように良く映えてくれる印象です。

深みのある織部焼の表情と、愛らしい鉄絵の花紋様が絶妙に融合したこの楕円の中鉢は、食卓をそのお料理とともに鮮やかに彩ります。

釉薬の美しさと大人の落ち着きを兼ね備えたその上品さは、一見するだけで心を捉え、土物和食器特有の風格を感じさせます。

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